クメールの探求


人面塔  



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まとめ



バンテアイ チュマールの衛星寺院

サーム ナソタソク

樹木の中に埋もれている人面塔  バイヨン様式  13世紀の寺院

「2016年7月に写す」


この様な画像が写せるのはカンボジア「クメール」のみでは

多くの世界遺産を尋ねましたが この感じ  カンボジアのみでは?




今回  バイヨンにて 見られる寺院に人面のお話を

世界遺産で イースター島といエジプトのスフインクスの大きなお顔が見られます


クメールの人面は 位置  数とも 上記 二ケ所の遺跡より面白いのではと思い  今回取り上げました



人面塔  一覧

NO 州名 遺跡名 寺院名 門名 設置位置 年代
1 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 バイヨン 祠堂 13世紀 初め
2 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 タ プローム 塔門 13世紀 初め
3 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 バンテアイ グディ 塔門 13世紀 初め
4 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 タ ソム 塔門 13世紀 初め
5 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 南大門 塔門 13世紀 初め
6 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 西大門 塔門 13世紀 初め
7 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 北大門 塔門 13世紀 初め
8 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 死者の門 塔門 13世紀 初め
9 シエムリアップ アンコール ワット遺跡群 勝利の門 塔門 13世紀 初め
10 プリア ヴィヒア 大プリア カーン プリア ストゥン 祠堂 13世紀 初め
11 バンテアイ メアンチェイ バンテアイ チュマール バンテアイ チュマール 祠堂 13世紀 初め
12 バンテアイ メアンチェイ バンテアイ チュマール プラサート タ プローム 祠堂 13世紀 初め
13 バンテアイ メアンチェイ バンテアイ チュマール プラサート タ ニッム 祠堂 13世紀 初め
14 バンテアイ メアンチェイ バンテアイ チュマール プラサート スラス チュンチム トレイ 祠堂 13世紀 初め
15 バンテアイ メアンチェイ バンテアイ チュマール プラサート サーム ナンタソク 祠堂 13世紀 初め


カンボジア以外のクメール遺跡には人面塔は築かれていません  (タイ  ベトナム  ラオスはありません)


アンコール ワット遺跡群  以外での塔門に人面塔は描かれません


上記の表で人面が描かれている建築物は アンコール ワット遺跡群  バンテアイ チュマール遺跡群  大プリア カーンの三ケ所にあり

祠堂が7ケ所  塔門が8ケ所  計 15ケ所に造られています





人面塔が描かれているのは  アンコール ワット遺跡群   バンテアイ チュマール 「バイヨンから西に110KMの所」    大プリア カーン 「バイヨンから東に96KMの所」

この三ケ所に人面塔が描かれています


これら三ケ所の人面塔を 見てきましたが 何故か  バンテアイ チュマールの人面塔の痛みが 他の人面等より 痛みが激しい


一般的に考えられるのはバンテアイ チュマールの地盤が ほかの所より弱くか 砂岩の材質が弱いのではと 


バンテアイ チュマールの人面塔の痛みの ものが多いのは  何故?




それを調べてみましょう



NO1   クメール寺院  年代別  一覧表  「件数」


年代 完成 未完成 不明
6世紀 1 5 6 1.1
6世紀ー7世紀? 2 2 0.4
7世紀 39 39 6.9
7世紀 後半 2 2 0.4
7世紀ー8世紀 2 2 0.4
7世紀ー8世紀 2 2 0.4
7−11世紀 1 1 0.2
8世紀 20 1 1 22 3.9
8世紀? 1 1 3 5 0.9
8世紀-9世紀 3 1 4 0.7
9世紀 9 1 3 13 2.3
10世紀 80 9 24 113 20
10世紀? 7 1 3 11 1.9
10−11世紀 4 3 2 9 1.6
10−11世紀? 5 1 3 9 1.6
11世紀 71 41 54 166 29.3
11世紀? 4 3 16 23 4.1
11世紀-13世紀 1 1 2 0.4
12世紀 18 1 19 3.4
12世紀? 1 1 0.2
13世紀 初め 47 61 1 109 19.3
7世紀ー 12世紀 1 1 0.2
13世紀? 2 2 0.4
不明 1 1 0.2
323 124 117 564 100.


***  完成は建物が完成されていると思えるもの   未完成は まだ未完成の建物   不明は 崩壊が著しく 完成か未完成か不明な建物


クメール寺院は カンボジア  タイ  ベトナム  ラオスに約560件もあるのです



60歳から17年間  カンボジア タイなどのクメール寺院を 訪れ 現場で見る 建物  彫刻   リンテル  破風飾りなどを見て 素人が 勝手に年代を推測し記載しました

アンコール ワット遺跡群などでは ある程度 紹介されている寺院がありますが  プリア ヴィヒア州 又 タイと国境付近の寺院は全く紹介もありませんので 勝手に年代を判断しました

正しいかは  さて?





転用


NO1


転用とは


この画像のリンテルは10世紀
「プレ ループ様式」のリンテルです


しかし  この祠堂は13世紀 「バプオン様式」
に造られ その時 リンテルを他の寺院からの
転用されたもので  この画像の開口部に
使用された砂岩の転用されたものです

この様にバイヨン様式の寺院は

開口部の砂岩  リンテル

コロネット 彫刻像などを
他の寺院のものを
転用し それを使用しています

NO2


ダルマサラ

開口部の上部に使用されている砂岩は
バプオン様式 「11世紀」のものです


しかし このダルマサラはバイヨン様式
「13世紀」に作られまのです


11世紀寺院の砂岩を転用されて
 このダルマサラは造られています


すなわち 転用とは バイヨン様式 「13世紀初め」の寺院建設時  その前に造られた寺院の砂岩を使用し建設されたもののことを言います

***  クメールで転用が行われていたのはバイヨン様式 「13世紀初め」のみ


転用の例 をクリックすると 多くの転用された画像があります


転用の例
9ページ


タイにて バイヨン様式の寺院が42件ほど作られていますが その内 完成されている寺院は4件  残りの38件は未完成の寺院です

なぜ 多くの寺院が 未完成か  資金が無いからでは



タイ  クメール寺院 「バイヨン様式  13世紀初め」  祠堂の建材  *** 砂岩は使用されている寺院は 少ない  


祠堂 ラテライト 砂岩 砂岩 ラテライト なし レンガ
件数 36 2 1 2 1 42


アンコール ワット様式 「12世紀」 クメール寺院   祠堂の建材 ***バイヨン様式の寺院では使用の少ない砂岩が多く使用されています


祠堂 ラテライト 砂岩 レンガ
件数 0 18 2 20




クメール寺院の建材を 何を使用したのか  12世紀「アンコール ワット様式」と13世紀 初め「バイヨン様式」と比較


資金難で 崩壊が始まったタイでは ジャヤヴァルマン7世の命で ダルマサラ「宿泊設備」 施療院などを 建設しましたが 多くが未完成 更に
砂岩を採掘 輸送する資金も無く  近くにある 8世紀から11世紀の寺院の砂岩を転用して 建設を行う






二つのお顔の比較





NO1


バイヨン


人面


この画像で4面のお顔が見えます

どのお顔もすばらしい
NO2


バンテアイ  チュマール

人面


この角度で人面を写すと
三面のお顔が写せますが
正面のみのお顔

左右は崩壊


バイヨンを何回か訪れ  バンテアイ チュマールも何回か訪れると  なぜ バンテアイ チュマールの人面の破損が著しい

バイヨンは三層に砂岩を積み上げ約40Mほどの高さ

それに対してバンテアイ チュマールは高く見ても10Mほど

しかし  それぞれの人面の破損状況は 大きく違います バンテアイ チュマールの破損は どの遺跡より酷い   何故?


初め それぞれの砂岩の品質に問題があるのか まず  バイヨン「アンコール ワット遺跡群」に使用された砂岩

クレーン山の裾野にある砂岩採掘現場を訪れ 

次にバンテアイ チュマールの砂岩採掘現場を訪れ それぞれの砂岩を比較 素人が現場で砂岩を見る限り 同じ品質では?

偶然  バイヨンから と  バンテアイ チュマールから砂岩採掘現場までに距離が共に 約32KMでしたが



バイヨン様式の建物は約100件ほど  その内 タイの寺院は 酷く  42件中  38件の寺院が未完成
更にコストが高くつく 砂岩の建設はやめ  ラテライトを多く使用しますが 開口部に使用する砂岩は 他の寺院からの転用


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